新藤輝夫

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ドアを開けた輝はまず遅刻カードを今いる教師に渡した 「新学期初日に遅刻か……もっとしっかりしろよ」 と教師に言われた クラス替えをした事もあり席が全くわからない輝は助けを求める顔で教師を見る 「輝くんの席右側の一番後ろだよ」 と教師が言う前に答えてくれたのは1年の時に一緒のクラスの 『北岡恭子(きたおかきょうこ)』である 彼女はふっつうの本当にふっつうの子である 輝は彼女に礼をして席についた クラスは大体40人前後で1年の時と同じクラスになった奴は15人位しかいない 「よ、遅刻魔!また寝坊か?」 と話し掛けてきたのは 『白鳥晶人(しらとりあきと)』 1年の時、同じクラスですっかり意気投合した友達である 「おう、はくちょう聞いてくれ」 「違う、しらとりだ!いつになったらまともに呼ぶんだよ!」 いつも始めはこんな感じだ 「まぁまぁ、実はさぁ昨日買ったゲームが面白くって……」 「お前なぁ……」 たわいも無い会話をしていると教室のドアが開いた 中に入ってきたのは女子生徒でスタイルはよく、背は150前後で髪はポニーテール、前髪は残してある感じの生徒だった 彼女はカードを教師に渡し席を聞き自分の席についた その一部始終を輝は見続け今も彼女に見入っていると 「おーい、輝?輝くーん?」 「ん?どした?」 「口開けて彼女に見入って、さては一目惚れってやつ?」 白鳥は笑いながらそう言った 輝はただ黙って彼女を見ていた 「うん、俺、恋したのかも…」 心臓の音は早く今まで感じた事のない感覚に輝は動揺していた 「彼女と喋ってみたい……」 初めて輝が口にした言葉だった
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