さよなら、日常

9/9

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
祐輔は理解不能な現象を目の当たりにし、驚きを隠せない。 晃「祐輔!手を離してみろ」 と助言して見たものの、当の自分が得体の知れない恐怖で足がすくみ動けない。 そんな自分が恨めしく思う。 祐輔は晃に言われた通りに手を離そうとしたが、できない。 何か目には見えない、不思議な力が働いているかのように。 祐輔「駄目だ。離れ……」 最後まで言う前に、鏡の輝きが増し祐輔もろとも包んだ。 やがて、輝きが消え失せる。 そこには、祐輔の姿はなかった。 噂通りになってしまったのである。 ――ちくしょう…… 俺が誘ったばっかりに……! 俺は最低だ…… 晃は心の中で自分を責め唇を強く噛みしめる。 血が滲み出てるのも構わず。 晃「祐輔ぇぇぇ!」 晃以外いない孤独な廃ビルの中に、一つ叫び声がこだました。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加