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祐輔は理解不能な現象を目の当たりにし、驚きを隠せない。
晃「祐輔!手を離してみろ」
と助言して見たものの、当の自分が得体の知れない恐怖で足がすくみ動けない。
そんな自分が恨めしく思う。
祐輔は晃に言われた通りに手を離そうとしたが、できない。
何か目には見えない、不思議な力が働いているかのように。
祐輔「駄目だ。離れ……」
最後まで言う前に、鏡の輝きが増し祐輔もろとも包んだ。
やがて、輝きが消え失せる。
そこには、祐輔の姿はなかった。
噂通りになってしまったのである。
――ちくしょう……
俺が誘ったばっかりに……!
俺は最低だ……
晃は心の中で自分を責め唇を強く噛みしめる。
血が滲み出てるのも構わず。
晃「祐輔ぇぇぇ!」
晃以外いない孤独な廃ビルの中に、一つ叫び声がこだました。
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