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祐輔「それにしても、ここはどこなんだ。」
それは、最低限知っておきたい情報の一つである。
祐輔はここはどこなのかを示す標識らしきものがないかと、辺りを見回たす。
しかし、あるのは木ばかりである。
そうここは名も知らない森なのだから……
途方に暮れていると、どこからか声が聞こえた。
「どうやら、お困りのようだな」
その声からは祐輔をからかっているような響きがある。
祐輔は声の主を探したが、見つからない。
――まさか、幻聴か?
ついに俺も可笑しくなったな。
と自嘲ぎみに心中呟いた。
フゥ、とため息をもらす。
祐輔は何か決心したのか立ち上がり、腕を上げ伸びた。
さらに、屈伸をしようと膝を曲げ腰を落として時
ふいに視界にあるものが映った。
それは傘である。
鏡に吸い込まれる直前、壁に立てかけたあの傘だ。
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