火の国

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部屋の中は布団とタンスがあるだけの、簡素な部屋であった。 それでも、祐輔は嬉しく思う。 自分のいた世界とは違う世界―――異世界に自分が住むことを許されたのだ。 祐輔「お言葉に甘えて寝るか」 そう思い、祐輔は傘をタンスに立てかけようとした時、 突然声がする。 「おい、寝る前に修行だ!」 その声は白龍だった。 人が寝ようとする時に修行だとは何ごとだ、と祐輔は思い呆れた口調で言う。 祐輔「今は猛烈に眠い。故に修行はなしだ」 きっぱりと言い放った。 しかし、白龍は諦めない。 白龍「お前なぁ、また万が一に狼野郎みたいな、怪物に遭ったら死ぬぞ。死にたくなけりゃ、修行だ」 それは、祐輔を心配するかのように。 それでいて諭すように。 言う。 祐輔はそんな白龍の気持ちを察してか、拳を強く握り、
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