20人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
男は傘をハンマーに変化させた。
ハンマーの一撃を受けたら、ひとたまりもないであろう。
兵士達はゴグリと喉を鳴らす。
ふいに、男の姿が消えた。
右側面に微かな風を感じ、兵士は反射的に剣をそちらに構える。
そののち、右側面に衝撃が起こった。
男がハンマーを薙いだのだ。
剣で受け止めたが、防ぎ切れず吹き飛ぶ。
仲間のピンチに乗じてもう一人の兵士が、男に斬りかかる。
男は冷静に剣の軌道を見極め、ハンマーで防ぎそれで剣を振り上げ、兵士の手元から離す。
武器を失った兵士は顔を歪ませるが、なお諦めずに立ち向かう。
相手に裸で戦うようなものだ。
恐いはずがない。
それでも、無謀と分かっていてもやる。
この場所を守ることが任務なのだから。
それが、火の国の兵士の矜持である。
最初のコメントを投稿しよう!