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祐輔は改めて盗賊の隠れ家を見上げる。
多少、他より拓けている場所に建っているそれは、即興で造られた家だ。
家、といっても木などは使っておらず、泥のような物を固めてできている。
周りとは明らかに違う、奇異な存在。
アラン「今から中に入る。ちょっと下がってろ」
アランは祐輔を手で押し、もう片方の手を挙げた。
と二人の兵士が、アランと並ぶ。
その後ろにもう二人の兵士が立ち、剣を構える。
祐輔はそれを固唾を呑んで見守る。
アランが合図を取り
泥の家に三人でタックルを喰らわせた。
ドゴッと打撃音が鳴り、泥の家に穴が開く。
アランの後ろにいた残りの兵士が、すかさず侵入する。
それから祐輔も中へ入った。
泥の家の中は薄暗く、少し蒸して暑い。
すると、前方から声がする。
「増援の兵か」
それほど遠くない距離から声がし、コツン、コツンという音がした。
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