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マリック「いいだろう」
そう言うとマリックは、斧を斜め下にし構えた。
一撃で決められる構え。
一方、アランは左半身を前に出し、右手に持った槍を後ろへ引き、胸の方まで上げ構える。
こちらも同様である。
互いに様子を窺っており、静止している。
アランの顔に一筋の雫が流れた。
少しでも集中力を乱せば、敵の一撃を喰らってしまうだろう。
膠着状態に痺れを切らしたのは、マリックだった。
マリックは斧を引きずるように駆ける。
決して遅くはない速度。
速くもない速度でもある。
マリックは半円を描くように振り上げた。
(…まだだ。まだ早い……)
そのまま、すぐに振り降ろす。
遠心力を利用した攻撃は、凄まじい速さでアラン目掛けて迫ってくる。
その速さは本来の倍以上。
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