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晃「そうかい。じゃあ祐輔から入れ」
晃は廃ビルを指を差して言った。
祐輔「何で俺が先?」
当然の疑問である。
晃「その傘は護身用なんだろ?じゃあ頼む」
祐輔はしまった、という後悔の気持ちに陥った。
晃はちゃんと祐輔のジョークを聞いていたのだ。
というより護身用?、と。
いつまでも後悔してはならない。
と覚悟を決め、身体ごと廃ビルへ向けた。
祐輔「行こう」
振り向かずに晃に言った。
廃ビルの玄関には、今は使われていない自動ドアが、取り付けられていた。
目の前に立っても、自動ドアは開かない。
祐輔は開かない自動ドアの真ん中の小さな、穴に指をかけ晃に視線を向ける。
晃はウンと頷いた。
それを確認し、指に力を加え穴を広げる。
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