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祐輔に気をとられている隙にアランは、マリックとの距離を詰める。
槍が届く範囲。
(――いける!)
アランは前に跳躍しながら、上半身を捻る。
その勢いで槍を突いた。
マリックに命中すると思われた時――
カルロが身を投げ出し、アランとマリックの間に入り込んだのだ。
槍は吸い込まれるように、カルロの腹部へ侵入した。
アランの刺突はカルロに命中したのである。
カルロ「そう簡単にやらせはしない」
カルロは口から血を吐きながら言った。
笑いながら。
アランは腕に力を込め、引き抜こうとする。
しかし、思うように動かない。
よく見るとカルロを貫いた槍が、泥によって包まれていた。
泥というより、乾燥して固まっているから土である。
アランはもう片方に手で、槍を泥を殴る。
泥は亀裂が走り、バラバラと崩れ落ちた。
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