2.出来事

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それからずっと二人は押し問答していた。 ――“言え” ――“居ない” の繰り返し。 「西脇しつこいよ?」 「お前が言わないからだろ?」 「だからー!居・な・い!!」 堅司はいい加減、このやり取りも飽きてきた。 「まだ言うか!そう言う奴にはこうだ!!」 そう言って、悠斗は堅司に襲い掛かった。 「あはははっ!ちょ、西脇っ、やめっ!あはははっ!」 悠斗は堅司に馬乗りになりくすぐり始めた。 「止めて欲しけりゃ言え!」 そう言いながらより一層くすぐり、堅司は息もするのも苦しくなってきていた。 「くっははは!まっ、マジで止めっ、ぶぁははは!腹っ、腹がっ!」 すると、悠斗はスッとくすぐるのを止めて、上から堅司を見下ろし言った。 「言う気になったか?」 悪戯を楽しむガキみたいに、ニヤついている。 「はぁ、はぁ、誰が……言うかっ!」 「ふぅーん……あっそう」 遂に諦めたのか、堅司の上からどいた。 堅司は笑い過ぎと暴れ過ぎで身体が怠く、起きる事が出来ない。 そんな堅司を尻目に、悠斗は再び堅司の上に馬乗りになった。 しかも、何故かネクタイを手に持って……。
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