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何でネクタイ?っつうか、何でまた馬乗り?
そんな事を堅司は考えながら、一抹の不安が過ぎる。
(まさか……ねぇ?)
意を決して堅司は悠斗に聞いた。
「あのー、そのネクタイは何でしょう……」
「えっ?知りたい?」
堅司はコクコクと頷く。
「こうするんだよ」
そう言ってネクタイを口に銜え、堅司の両手を掴み頭上で片手で押さえると、ネクタイで器用に縛り付けた。
それは堅司が反抗出来ない一瞬の出来事だった。
「えっ、えっ?」
堅司は呆気に取られ口をパクパクさせる。
「野末が暴れるのが悪い」
「俺が悪いってどう考えたらそうなるんだ!!」
「怒鳴ったってその状態じや、怖くねぇし」
両手が縛られてるだけならまだしも、動かせないようにベッドの足と一緒に括られている為、動かせるのは足だけ。
その上馬乗り……。
そんな奴に威嚇されても怖くもないだろう。
(さて……どうしよう。)
こうなっては、焦っても仕方ない。
堅司はこの状況をどう打破するか、冷静に考えるが、行き着く先には最悪な答えしか出てこない。
“言え”ば終わり
“言わない”と……
何をされるか分かったもんじゃない。
堅司は壁にぶち当たった。
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