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ただ触られただけなのに、身体が反応する。
(どうか聞こえてませんように……)
そんな堅司の願いも虚しく、悠斗の一言で打ち消された。
「何?感じちゃった?」
堅司は悠斗を睨み付けた。
「顔真っ赤……こうやって見ると何気に美人だな」
悠斗は一人で納得したように、ウンウンと頷いた。
これ以上、何かされたら堪ったもんじゃないと、堅司は勝負に出た。
「西脇、降参だ。
言うから解放してくれ……なっ?」
言う前に解放されれば成功。
言わないと駄目だと言われたら失敗。
さぁ、吉と出るか凶と出るか……。
「……もうそれはいいや」
「えっ……?
いいなら、どいて外してくれよ」
吉ではなく大吉だった。
「ヤダよ」
そして、直ぐに凶へと変わった。
まさに天国から地獄。
何で断るのか堅司には分からなかった。
そもそも、こうなったのは好きな人が居る居ないで言い合いになったから。
だがそれ以前に、こうなるのも可笑しい。
それに、この状況になった原因をもういいと言っておきながら、悠斗とは止めようとはしない。
(西脇はヤダと言ったんだ?)
堅司はこの状況を打破する術を失ったのだ。
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