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「あのさ」
「何だよ。解放する気になったのか?」
「いや、全然」
「全然って、西脇は何がしたいわけ?」
堅司がそう問うと、悠斗は何か考えている様子で黙った。
「……ヤリたい」
「はい?」
またもや悠斗が突拍子もない事を口にした。
「だから、野末とヤリたい」
「西脇……お前、頭大丈夫か?
何がどうなって、俺とヤル話しになるんだよ」
言葉とは裏腹に堅司は胸が弾む。
堅司はひそかに悠斗に恋心を抱いていた。
悠斗に抱かれたいと願っては、それは叶う事はないと幾度も打ち消した思い。
「野末が何がしたいって聞いたんだろ!」
「だからって何でヤル事に結び付くんだよ!」
「しょうがねぇじゃん!野末とヤリたいって思ったんだから」
心が揺れる。
抱かれたいという思いと、抱かれたくないという思い。
――天使が囁く
一度、抱かれてしまえば、きっと気持ちが欲しくなり身体だけなんて我慢出来なくなってしまう。
そうなってしまえば傍には居られない。
だから止めなさいと……。
そして……
――悪魔も囁く
抱かれたいんだったら抱かれろ。
身体だけでも結ばれれば、それで充分に幸せだろ?
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