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堅司は両手をギュッと握り締め、思い切り足の間に振り下ろし床へと叩き付けた。
それでも震えは収まらず、何度も何度も震えが収まるまで、床へと手を叩き付け、気付けば手からは血が滲み出てきていた。
重たい身体を奮い起こし、壁に寄り掛かりながら何とかキッチンに辿りく。
渇いた喉を潤す為に、冷蔵庫から水を出す。
蓋を開けようと回すが、力が入らずに、ボトルが手から滑り落ち足元へと転がった。
「クソッ!!」
今出せる力一杯で冷蔵庫をバタンと締め、その場に崩れ落ちる様に座った。
暫くの間、闇と静寂が堅司を包み込む。
耳に入って来るのは、部屋に掛けてある掛け時計の、カチカチと鳴る秒針の音だけ。
その掛け時計に視線を向けると、針は夜中の3時を回ったところだった。
逃げる様に友人の家を出てから、既に2時間も経っていた。
「……寒い」
6月に入ったとは言え、長時間走った身体は汗が引き冷え切っていたのもあり、寒く感じた。
怠い身体を無理矢理に動かし、シャワーを浴びに風呂場に向かう。
服を脱ぎ、熱めのシャワーを頭から浴びる。
そして、堅司は今日の事を思い返した。
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