17人が本棚に入れています
本棚に追加
僕のお家の少し向こうに、資材置き場があるんだけど…そこに、僕そっくりな雌猫がいるんだ。
だから、皆は彼女を“レオ子”って呼んでる。
って、言っても、似てるのは色合いだけで、お母さん達は「レオちゃんの方が美人だね」って褒めてくれる。
…僕、雄なんだけど。
ちゃん付けって、どうなんだろう…。
レオ子は、かなりキツイ感じの顔立ちで、凄く痩せてる。
僕も痩せてる方だけど、それよりもっと痩せてる。
人間が嫌いみたい。
人間がご飯を持って近付いても、そっぽ向いたり、怒ったりしてる。
そんな彼女は、暫く姿を見せなかった。
久しぶりに資材置き場に現れた彼女は、ママになっていて、子供と一緒にいた。
パパは僕なんじゃないか?って、お母さん達は言う。
逆算すると、レオ子のお腹に赤ちゃんが出来たのは、僕が去勢する前に脱走した辺りと同じ頃なんだって。
だからって、僕がパパだって言われてもなぁ…。
困っちゃうよ。
でも、お母さん達は言ったんだ。
去勢しちゃって、もうレオちゃんの血を引いて産まれて来る猫はいない。
でももし、レオ子の旦那さんがレオちゃんだったら…レオ子の子供のパパがレオちゃんだったら。
繋がらないと思っていた命が、知らないところで繋がってたって事だから。
何だかそれって、嬉しいよね。
…って。
だったら、僕がパパでもいいかな。
お母さん達が嬉しいなら、それは僕も嬉しいって事だもの。
今度、また窓から外に出て、レオ子に会いに行って見ようかな?
でも、それからまた暫くして。
レオ子一家はいなくなった。
多分、もっとご飯があるところに引っ越したんだろう、って、お母さんが言ってたよ。
もしかしたら僕の子供かもしれない仔猫達。
無事に大きくなって欲しいなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!