また掻いちゃった。

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 耳と目の間の部分…眉毛の辺りかな?  そこが痒い。    前足でコシコシ。  それでも治まらないから、後ろ足でカリッカリッカリッ!    あっ!  血が出ちゃった…。    って事を、僕は今まで何度もやらかしてる。    顔を洗ったりすると、折角出来たカサブタが取れちゃう。  取れたら、また痒いんだ。  だから、また掻いちゃう。  そんなのの繰り返しで、中々治らない。    だから、お母さん達は、僕に傷口を触らせまいと奮闘する。    まず、タオルや包帯で、傷を掻く後ろ足をぐるぐる巻きにする。  爪を立てるから、いけないんだって。  でも、後ろ足をぐるぐる巻きにされたら、歩きづらいし、落ち着かないよ。  だから、僕はそれを器用に解いちゃうんだ。    見兼ねたアイツが、自分が使ってるクリアファイルでヘルメットを作った。  首輪みたいな首周りに、耳や口や目はちゃんと出るようにして固定してある。 …ホチキスで。    これは中々取れないんだ。    でも、傷を掻こうとしたら即席ヘルメットがズレた!  いける!と思ってもっと掻いたら…首が締まって苦しくなった。    見兼ねたお母さんが、ヘルメットに手をかける。  取ってくれるの?! と、思ったら違った。    ズレないように、キレイに固定された。    今度は掻いても首は締まらないけど…。    でも、やっぱり落ち着かないよ!    けど、最後の方は慣れちゃって。  寝るのに首を伸ばしたら少し食い込むんだけど…それにも慣れちゃった。    結局、そのヘルメットのお陰で、その時の傷は完治したんだ。    因みに。  あのヘルメットがお母さんに採用された時、アイツはかなり喜んでた。    アイツの発案で完治したの、ちょっと釈然としないんだよなぁ。  
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