ある猫の事情。

弟が出来た。

　１年後。
僕に弟が出来た。
　血は、繋がってないよ。
もらいっ子だもの。
僕と同じさ。

　この家に来る前は、ご飯がなかなか貰えなかったらしい。
　いじめ、とか、ぎゃくたい、じゃなくて、他の兄弟の輪に入って行けなかったんだって。
　他の兄弟がご飯を食べてるのを、ぽつねん、と輪から外れて見てたんだって。
　それを、アイツとお父さんが｢可哀想だ！｣って言ったらしい。

　あと、弟はかなりの甘えん坊で、人懐こい。
　僕とは正反対さ。
　だから、弟を引き取る事にしたらしい。

　名前はラッキーになった。
　どうしてラッキーなのかは解らないけど、お父さんは｢ウチに来れてラッキーだったな｣って言ってた。

　アイツは人懐こいラッキーが好きらしい。
　僕はもう、アイツに飛び掛かったりはしてないけど、それでも今も怖いんだろうな。
　構われるのが嫌な時は、容赦なく噛み付いてやってるし。
　お母さんも、ラッキーにかかりきり。
まだ、おトイレもちゃんと出来ないから、教えてあげてるみたい。

　そう言う僕は、今、ラッキーにおっぱいをあげてる。
　１歳しか違わないけど、ラッキーから見れば、僕は大人の猫なんだ。
だから、本当のママと間違ってるのかな？
　雄だから、おっぱいは出ないんだけど…。
　追い払うのも面倒だから、放っておくことにした。
　だって、僕はお兄ちゃんになったんだから。