番外編:summer vacation

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ゆきねは何も言わずに抱き締めてくれる ゆきねの温もりを感じる ゆきねに抱きしめられたのなんていつぶりだろう 頭をなでてはもらってたけど抱きしめられたのなんて本当に久し振り 「どこにも行かないよ 遠くなんてない だから安心して」 「でも、でも ゆきねは千鶴お姉様ので…… 私とは何も……」 そこまでいうとゆきねはそれ以上は言わなくていい、とでも言うように私をより強く抱きしめる 「私は確かにお姉様のだよ でも私は紗奈ちゃんを妹だと思ってる 何もないことなんてないの もしかして私がそう思ってるだけ?」 「ち、違う…… 私もゆきねのことお姉ちゃんだと思ってる……!!」 私がそういうとゆきねは私の肩を掴んで少し離す あ、もう少し抱きしめて欲しかったのに 「それじゃ遠くなんてないよね 私は何があっても紗奈ちゃんのお姉ちゃんでいるつもりだよ」 そう微笑むゆきね ……この笑顔が見れたなら離れるだけの価値はあったかも 私は頷く ――遠くなんてない、か それでも、私にとってはすごく遠いよ 今頃気付いたって遅いよ 私も、レズだったんだって でも、うんゆきねが幸せならいいのかもって思う 私とゆきねは、姉と妹でいいんだ 「ゆきね、私もずっと、妹だよ!!」 その関係で終わるのが嫌じゃないって言えば嘘になる でも、今の関係がキライっていうのは、大嘘だから ずっとずっと、今の関係がいいな、なんて
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