番外編:a graduation ceremony

5/52
前へ
/573ページ
次へ
今年の文化祭、江美お姉様が来た 江美お姉様は卒業してからも奏ちゃんとうまくやってるみたい とは言っても未だにどっちからも想いを伝えてないらしいけど その時お話をした時に聞いたことがある 『この学園での生活はとても楽しかったわ けど時々忘れてしまいそうになるの まるで一夜の儚い夢みたいに』 って 言い回しが格好いいよね ――いや、そうじゃなくて 夢みたいに忘れちゃう、なんて お姉様がもしも本当にこの学園のこと忘れたりしたらどうしよう 「私はお姉様を信じてます 絶対、絶対に卒業しても、私のこと……」 「大丈夫よ 優姫のこと、愛し続ける そうね、なんなら長期休業の間はどちらかの家でお泊まりなんてどう?」 長期休業は、お泊まり……? それってつまり春休みとか夏休みとかはずっとお姉様と一緒、ってこと? それだったら、いいかも…… 「それに連絡手段が限られてるとは言ったけど1日1回、10分くらいなら電話の使用も許されるわ 少し短いけど、話をしないよりはマシでしょう? 私からかけることは出来ないから優姫からかけて 電話番号は分かる?」 私は頷く 覚えてる 大切な人の電話番号、忘れるはずもない 「そういえば私ここを卒業したら携帯電話を買うの そっちの番号も教えるわね」 そっか、お姉様携帯買うんだ この学園では原則禁止だから大体の人は持ってない 電波が入らないらしい 持ってても使えないんじゃ意味ない 携帯が使えればお姉様といくらでもお話できるのに……
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2226人が本棚に入れています
本棚に追加