番外編:a graduation ceremony

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「お姉様、この場所でこうやって会うのは、最後なんですよね?」 お姉様は頷く いくら違う場所で会えたとしてもここで会えるのは最後なんだよね ここは色々なことがあったよね お姉様と会うときは大体ここで すごく思い出がある だからここで会うのが最後だって思うと寂しい そこから少し沈黙 でもそれは辛い沈黙ではない お姉様といればどんな沈黙だって幸せ お姉様といること自体が幸せなんだから 「そうね、寂しいわね」 お姉様のその言葉に私は驚いてしまう だってこの言葉さっきの私の言葉の返事にしてはちょっと間が空きすぎだし 寂しいとは思ったけど思っただけで口には出してない ――筈 だからこの言葉はきっとお姉様の独り言に近いものだと思う 「何が寂しいんですか?」 「卒業すること それとやっぱり毎日優姫と会えなくなることが大きいわね」 お姉様はそういって私の頭をなでる 本当に、優しく優しくなでてくれる まるで壊れ物でも触るみたい 「お姉様、今日くらいは、ずっとお姉様と一緒にいたいです」 今まで学園の中でお姉様と一晩一緒だったことってないんだよね こんな特別な日だから、お姉様と一緒に過ごしたい 「そうね、ずっと一緒にいましょうか 3月とはいえまだ寒いから御聖堂にでも行きましょう」 御聖堂で一晩お姉様と一緒…… なんだかドキドキする 一晩一緒にいるっていうのもそうなんだけど御聖堂で―― あの神聖な場所でお姉様と一晩一緒っていう背徳感にも似た感情がある
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