奈落の底

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「悪い奈々子。別れてくんない?」 私の恋人の高橋 豊。最近は彼との会話に結婚の二文字が飛び交っていたハズなのに。 仕事の都合で会えなくて2週間ぶりに会いたいと言った彼。 いよいよ正式にプロポーズだと期待して彼に会いに行った私。 私の期待は脆くも崩れ去った。 「‥‥何で?豊だって最近、結婚考えないかって言ってたじゃない!!」 「‥‥奈々子はさ、いい女だけど面白くないんだよ。刺激が足りないっていうかさ。まぁぶっちゃけ、他に好きな女が出来た訳よ。」 「‥‥‥何よそれっ!!何言ってんのよ!!」 「新しい女はさ。俺に色々与えてくれるの。金もカラダも。それに俺より仕事出来る女じゃないってことが一番だよ。じゃぁ、悪いけど別れてね。あぁそれと会社では普通に接してくれよ、桜井係長」 淡々と話し後ろを振り向かずに去って行く豊に、唖然として何も言えず、ただ呆然と立ち尽くしてしまった。
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