240人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、会社は休みたかったけど大事な仕事が残っていたため、出社した。
豊に振られた日はどうやって帰ったのかわからない。
赤く腫れた目を気にしつつ、仕事に没頭した。
「‥‥‥君」
「‥‥‥井君!」
「桜井君!!」
部長に呼ばれたのにも気付かず仕事に没頭していた。
怪訝な顔の江藤部長に呼ばれ、応接室に入った。
「桜井君は今、付き合っている人はいるのかね?」
「‥‥‥‥はぁ?」
今、取り組んでいるプロジェクトの話だと思っていた私には、理解出来ないでいた。
「桜井君も30手前だろ。そういう人はいるのかね?」
「‥‥‥いませんが…」
豊の顔がちらついて胸が痛くなった。
「そうか…なら私とどうかね?」
そういうと席を立った50歳近い脂ぎった部長が、膝の上で握りしめていた私の手を掴んだ。
「止めてください!何するんですか!」
力の限り振りほどいた私の手が部長の顔に当たった。
勢いよく当たった部長の顔には、指輪のおかげでキズが出来ていた。
「桜井君!君にはもう任せられない。今度のプロジェクトには高橋君と北野君に任せることにするよ」
最初のコメントを投稿しよう!