希望宅配人

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―土曜日―― つい先日、先輩からもらった名刺にアクセスしようと思った。 あの日は酔っていてまるで全てがこの名刺の力で上手くいく気がしていたが、今はそんな気が起きない。 アクセスを躊躇していたら携帯が鳴った。 ―――本城 雪菜――― 学生の時からの頼りになる親友だ。 「もしもし?」 「あっ奈々子?おはよう。今日ヒマ?」 朝からテンションの高い雪菜に思わず笑みが溢れる。 「いつも通りよ。ヒマ。まぁ、ネットしようとしてたけど」 「そうなんだ。ネットって何か調べもの?」 「うん。そんなとこ。あっそうだ雪菜、『希望宅配人』って会社知ってる?」 電話の向こうで雪菜が驚いているのがわかった。 「知ってる~。最近口コミで広がってるよ。世間に疎い奈々子も知ってるのかぁ」 「有名なの?」 「うん!!中々、依頼引き受けてもらえないらしいけど…。受けた依頼は完ぺきらしいよ」 「‥‥‥‥そう‥なんだ」 「なに!奈々子も何か依頼するの?」
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