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ある所に水の精が住む岸辺がありました。
その水の精の中に、とても愛らしい女の子がいました。
彼女はある日、アポロンが黄金の馬車に乗って空を走っている姿に心を奪われ、東から西へ馬車を走らせるアポロンを一日中見るようになりました。
毎日空を見上げアポロンを見つめ続けるうちに、彼女の美しい顔はどんどん痩せていき、食べ物も喉を通らず、明らかに弱っていきました。
絶対に結ばれない相手を毎日見つめ続けた彼女の身体は、仲間が水の底へ連れ戻そうとした時には動かなくなっていました。
心配する仲間が見守る中で彼女の身体は緑の茎になり、顔は大きな黄色い花に変わりました。
アポロンの黄金の馬車を見続けた水の精は向日葵になってしまったのです。太陽にそっくりな花でした。
彼女は何百年経った今でも太陽を見守り続けているのです。
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