一つのメルヘン

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  秋の夜は、はるかの彼方に、   小石ばかりの、河原があって、   それに陽は、さらさらと   さらさらと射しているのでありました。  猫が近寄ってきた。と思ったら、私には一瞥もくれず、河原へ向かって行った。  なぁんだ、つまんないの。私は落胆して猫を見送る。  私は眠っていた。  ―――はずだった。  「ちょ、お兄ちゃん、朝から何を―――」  朝だからだろ、と兄は私の上に乗ったまま、降りようとしなかった。  一粒の汗が、ぽた。動きはしなやか。私は目を閉じる。  「はぁー」  溜息も出るさ。気付いたらこんな状況。  まぁいつものことだからいっか。妥協も大事だよね、うん。  さっきまでみていた夢。きらきらとしていたあの河原。  せっかくいい風景だったのになー、とぼーっとしていたら、兄の動きが止まった。  「起きろ。朝だぞ」  「知ってるよ」  兄はそのまま浴室へ向かう。私はそのまま布団にくるまる。  なんの変哲もない。日常茶飯。  「なーんでこうなっちゃうかな」  思わず声に出してしまうほど。思い詰めてはいた。  自分の力だけでは変えられないこの日常に、嫌気がさしているのは、事実だ。
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