名無しのマリー

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「お名前は?」 「私…?」 「うん、そう。お名前は?」 「私…。名前がないの…」 「そうなの?じゃあ私が名前を付けてあげるね!う~ん…、そうだ!『マリー』っていうのはどう!?」 「『マリー』…?」 「うん!『マリー』ちゃん!」 「『マリー』…。」 「…気に入らないかな?」 「ううん、すごく素敵。とっても可愛らしい名前…」 「よかった!じゃあ今日から『マリー』ちゃんは私の友達だね!」 「友達…?」 「そうよ!お友達!よろしくね『マリー』ちゃん!」 「友達…、友達…」 友達…。 私の名前はマリー。 『名無しのマリー』 私の両親は私の出生届を出さなかった。 ひどい親だった。 学校には行かされず、何かと理由をつけて殴る蹴るを繰り返された。 父親には、犯されもした。 夏のある日、父親がすごい剣幕で私の腹を何度も蹴った。 私は血を吐いたがそれでも止まらなかった。 そのまま、私は死んだ。
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