849人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
チャイムの音が、授業の終了を伝えた。
お昼休み。
私達はいつものように集まり、お弁当を広げた。
「あ!今日は一段と豪勢でございますな~みひろ様~!」
そう言うと親友である貴恵(きえ)が私のお弁当箱を飾るチーズ明太子入り卵焼きに狙いを定めた。
「だ~め!こないだもあげたでしょ!」
「こないだのは唐揚げ、今は卵焼きが食べたいの!」
「そんな理由にならない理由が通用すると思うか~!食らえ必殺みひろチョップ!」
「なにくそ真剣白刃取り!」
貴恵は空中で両手をパンっと鳴らした。
チョップは当たってる。
「うぬぬ…おのれ…」
「はっはっはっ。私のチョップを止めようなどと百年早いわ」
「あ~ん!卵焼き卵焼き!食べたい食べたい食べたい!」
「そ~んなに食べたいのか?」
私は卵焼きを箸で挟み、貴恵の目の前で「うりうり」と見せびらかした。
「では何か面白い話を聞かせてくれ。さすればこの卵焼き、ヌシにやってもよいぞよ」
「えぇ!?またでございますか!?」
「ほらほら、早くせぬと私の腹に納まって…」
「わ、わ、わ、わかった!わかりましたから!」
貴恵はしばらく「う~ん」と考えると思いついたようにケータイをいじり出した。
すぐに画面を見せる。
メール作成画面には『名無しのマリー』と書かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!