名無しのマリー

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チャイムの音が、授業の終了を伝えた。 お昼休み。 私達はいつものように集まり、お弁当を広げた。 「あ!今日は一段と豪勢でございますな~みひろ様~!」 そう言うと親友である貴恵(きえ)が私のお弁当箱を飾るチーズ明太子入り卵焼きに狙いを定めた。 「だ~め!こないだもあげたでしょ!」 「こないだのは唐揚げ、今は卵焼きが食べたいの!」 「そんな理由にならない理由が通用すると思うか~!食らえ必殺みひろチョップ!」 「なにくそ真剣白刃取り!」 貴恵は空中で両手をパンっと鳴らした。 チョップは当たってる。 「うぬぬ…おのれ…」 「はっはっはっ。私のチョップを止めようなどと百年早いわ」 「あ~ん!卵焼き卵焼き!食べたい食べたい食べたい!」 「そ~んなに食べたいのか?」 私は卵焼きを箸で挟み、貴恵の目の前で「うりうり」と見せびらかした。 「では何か面白い話を聞かせてくれ。さすればこの卵焼き、ヌシにやってもよいぞよ」 「えぇ!?またでございますか!?」 「ほらほら、早くせぬと私の腹に納まって…」 「わ、わ、わ、わかった!わかりましたから!」 貴恵はしばらく「う~ん」と考えると思いついたようにケータイをいじり出した。 すぐに画面を見せる。 メール作成画面には『名無しのマリー』と書かれていた。
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