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とある昼下がり――
俺は、昼間特有の喧騒に包まれた学園の食堂で、学園の人気メニューである肉団子スープを啜っていた。
周囲の学園生は、何人かで集まって食事を取っているが、俺の座るテーブルは、一つを除いて全て空席になっている。
一人でテーブルを独占している状態だ。
友人がいない訳ではない。
しかし、仲の良い友人がいるか、と問われれば、俺は返事に詰まるだろう。
一度パーティーを組んだ生徒とは、それなりに親しくしているが、それ以外の生徒とは親交を持とうと考えていないのである。
理由は単純明快。
俺が一人でいることを好むのと、友達付き合いとか言うものが面倒だからだ。
ゆえに先日も、2学年の試験を受けたときはパーティーを組んでいたのだが、その後は一人で施設の次のレベルに臨んでいた。
(……そのせいで、変なのに会っちゃったワケだけど)
大きな肉団子を咀嚼しながら、そこで出会った一人の少女のことを思い出す。
初対面の俺に対し、『下僕になれ』などと抜かした、可愛らしい少女。
男勝りな口調と、幼い容姿のギャップが印象的だったのを覚えている。
正直、下僕云々と言った話は抜きに、もう一度会ってみたいものである。
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