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周囲が再び沈黙に包まれた。
深く長い息を吐き、臨戦態勢を解く。
[レベル3]での初戦ということもあり、肩に力が入りすぎていたのかもしれない。
どうにも、普段の戦闘以上に疲労が蓄積した気がする。
とは言え――これなら、少しくらい手を抜いても大丈夫そうだ。
そう安堵しつつ、警戒を解いて歩き出す。
「ん……?」
突然、右足が重くなった。
前に進もうと力を入れてみるが――右足は、まるで石になってしまったかのように微動だにしない。
どうやら、何者かに強く掴まれているようだ。
恐る恐る、足元に視線を落とす。
「……って!さっきの骸骨じゃんか!!」
土から伸びた白骨体の手が、俺の右足首に絡みついていた。
見れば、骸の頭部の一部と思わしきものも、土の中からチラッと覗いている。
完全に見落としていた。
「うっわ! こいつ力強いんだけどッ?!」
杖の柄でガンガン叩くが、白骨は砕けるどころか、力の緩む気配も感じられない。
非常にかったるいが、俺は再び術式を発動させようと、しぶしぶ杖を構えた。
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