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「えーと……こんなトキは……」
気だるげに手帳を開き、最近覚えたばかりの【呪詛】を使おうと、頁を捲る。
まだ詠唱までは暗記していないのだ。
「術式展開――」
呪詛について記された頁を見つけた俺は、術式を口ずさみながら、杖の先端で宙に奇怪な文字を描き始める。
気づけば、足元の死体はいつの間にか数を増やしており、今では3体の白骨が、俺の足にまとわりついていた。
多少は驚いたが、詠唱は既に終盤に入っている。問題はない。
雑念を払い、最後の一文を唱え終える。
準備完了――仕上げと言わんばかりに、俺は天に向けて杖を掲げ、
「クルーシ、『ファイアランスぅ!』……ん?」
――た、瞬間。甲高い声で唱えられた術式に、俺は反射的に詠唱を中断する
それと同時、背後で爆音が響いた。
完全に不意をつかれた俺は、爆風に巻き込まれ、5メートルほど吹き飛ばされた。
一応、足元に群がっていた死体は、中途の呪詛で消滅できたようだ。
「危……ない、なッ!」
片手で受け身をとり、勢いを利用して反転。攻撃が来た方向を睨み、杖を構える。
そこには、剣を振り上げたまま燃え盛る――白骨だったものの、残骸があった。
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