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「さっきは助かったよ。……まさか助けた奴に助けられるとは思わなかったケドね」
あれから半刻ほど――
俺は未だ名も知らぬ少女に案内され、施設の中にある礼拝堂に連れてこられた。
彼女の話によると、礼拝堂には先程の死霊たちが寄り付かないのだそうだ。
それゆえ、一時的に自身のベースキャンプとして利用しているとか。
「いいよ、気にしなくて。俺の場合、1人でも平気とか浮かれてたのが原因だし」
そんな俺を助け、説教を垂れてた彼女に隙が出来たのは、仕方ないことだろう。
全部ひっくるめて俺の責任ってワケだ。
彼女に迷惑をかけてしまったことは、本当に申し訳ないと思っている。
「……お前、かなりいい奴だな」
俺の謝罪に目を丸くするのも一瞬。彼女は呆れたように苦笑し、そう口にした。
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