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「……」
ベッドですやすやと眠っている一人の少女を見つめている。
リョウは険しい顔をしていた。
「…お兄ちゃん?」
「…サキ…。」
彼女の名前はサキ。
リョウの妹だ。
「お兄ちゃん疲れるから…毎日来なくていいって言ってるのに…。」
サキは少し困ったような顔をした。しかしその表情は喜んでいるようにも見えた。
リョウの顔は笑顔になった。
優しい笑顔に……
「……気にすんな…サキ。
オレは大丈夫だから。
それより…サキ………ゴメンな。」
「?」
「兄ちゃん…大会負けちまった…。約束したのに…ゴメンな…」
リョウはいかにも申し訳なさそうな顔をした。
サキは笑顔で応えた。
「…そんなの…気にするコトないよ!!また頑張ればいいじゃん☆」
「サキ…」
その時突然
「――うぐっ!ゲホッ!!」
―ゲボッ!!!!!―
サキは口から血を吐いた。
「サキ!?サキ!!誰か!!!!誰かぁぁッッ!!!!」
「ゲホッ…兄ちゃ…ん…ガハッ!…気にしちゃ…ダメだよ…ゲハッ…私は…大丈夫だから…。」
サキは医師やナースに連れていかれ、リョウの目にはサキが苦しんでいた顔だけが焼き付いていた。
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