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「でもオレは…」
【仲間を裏切れないってか?】
「…!」
リョウは頷いた。
しかしもう一人のリョウはおいうちをかける。
【お前レンを殴ったじゃないか。レンの思いを踏みにじった。レンはお前たちを元気づけようとして言っただけなのに】
「あ…」
リョウの心が動揺した。
そう、わかっていたのだ。
レンが自分達を励ますために言ったということを。
しかしリョウは自分のプライドが許せなかった。
だから殴った。
自分のプライドじゃなく、妹の為だからと自分に偽って……
もう一人のリョウはそれを知っていた。同じ自分だからだろう。
【それなのにお前は妹を理由にしてレンを殴った。
もう…お前はもどれない。オレを頼れ、な?】
もう一人のリョウが下を向いていたリョウの顔を覗き込む。
「……!」
その時…なんだかオレがオレじゃなくなる気がした…
もうひとりのオレに何もかも乗っ取られた感じがしたんだ……
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