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「まぁ、楽しそうで良かった
よ。」
千代さんは携帯を私に返しながら微笑んだ。
私も友達も出来たし、初日にしてはいい1日をすごせて満足だった。
昨日ペルーから
「ホンダサン友達デキルカ
?」
「ヒトリサビシイ、オレ知ッ
テル」
と嫌味を言われ続け、当り散らしたことが懐かしく感じられた。
ペルーは千代さんの後ろから携帯の画像を覗き、葵ちゃんの顔を確認した後、交互に私の顔と見比べて、いつものニヤけた顔をこちらに向けた。
チッと舌打すると、ペルーは「フぅ~」と言いながら厨房の方へと消えていった。
なにが「フゥ~」だ、はったおすぞ。
ほんとゴキブリにたかられないかな、アイツ。
砂糖でもぶっ掛けてやろうか。
どんなに180cmをゆうに超える身長で、顔もスパニッシュ系で悪くなくても、あれだけ性格も根性もひん曲がっていたら台無しである。
ふと、朝自転車に乗っていた時に考えた、一昔前の漫画のイケメン男子を思い出した。
ペルーがいい例だ、と私は思った。
そこまで考えて、手にある携帯に写った2ショット写真を見て、心が躍るのを感じた。
「楽しまなきゃね。
友達も出来たし。」
千代さんの入れてくれたココアを冷ましながら呟くと、
「その意気だ。
頑張りたまえ。」
と千代さんはアイスコーヒの入ったグラスを私のカップへカチンと音をたててあてた。
「ホンダサン、イツアオイサ
ン連レテ来ル?」
真剣な顔でカレンダーと向かい合い、赤ペンを握っているペルーに、
お前のいる時には絶対連れて来ねぇと告げるまで、
あと5秒
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