プロローグ

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~少女視点~ 「お父様、今日はどのお話をしてくださるの?」 ああ、ワクワクします! 今日は何かしら? お父様の若い頃の冒険談? 大昔の英雄の伝説? それとも……、 「『灰色の雫』のお話かしら?」 最近の私の一番のお気に入り! 圧倒的人数の少ない、アサシンの頂点に立つ人のお話。 アサシンは忌まわしいとされるクラスですけど、『灰色の雫』のお話はとても純粋な気がしますの。 「灰色は灰色でも、今日は灰色の瞳の少年のお話をしよう」 お父様の瞳が、深い慈愛に満ちていました。 私を見つめる時の愛情に溢れた瞳とはまた違うわ。 民を想う時の慈悲深い瞳とも異なっています。 私は、お父様が誰を想った時にこんな表情をするか、知っていますわ。 「ハイネのお話かしら…?」 ハイネのお話は、今まで一度もありませんわ。 そういえば、彼を連れて来たのは、お父様でした。 「あの夜は、美しい満月と見事な星空をしていた」 私にハイネが紹介されたのは昼間でしたが、お父様とハイネの出会いは夜でしたのね。 「とある成金の家に招待されてね、嫌々だったけど行くしかなかったんだよ」
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