信-マコト-

4/5
前へ
/6ページ
次へ
そんな王には、二人の子がいる。 一人目、兄の名は紫陽(シヨウ)。 二人目、妹の名は梛(ナギ)。 王は自分の子供にも興味がない。 …いや、紫陽を《恐れた》。 幼い頃から賢かった紫陽が、いつか王位を奪うために自分を殺すのではないか、ってね。 馬鹿みたいだろう? だから紫陽を遠ざけ、城に住まわせなかった。 そして、それに抗議した王妃を、紫陽と同じように城から追い出したんだ。 その時――王妃は梛を身篭っていた。 王妃はある屋敷で梛を産み、しばらくの間は母子3人、幸せに暮らしていた。 …でも紫陽が12歳になった時、王は「紫陽を臣下とする」という勅命を下した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加