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そんな王には、二人の子がいる。
一人目、兄の名は紫陽(シヨウ)。
二人目、妹の名は梛(ナギ)。
王は自分の子供にも興味がない。
…いや、紫陽を《恐れた》。
幼い頃から賢かった紫陽が、いつか王位を奪うために自分を殺すのではないか、ってね。
馬鹿みたいだろう?
だから紫陽を遠ざけ、城に住まわせなかった。
そして、それに抗議した王妃を、紫陽と同じように城から追い出したんだ。
その時――王妃は梛を身篭っていた。
王妃はある屋敷で梛を産み、しばらくの間は母子3人、幸せに暮らしていた。
…でも紫陽が12歳になった時、王は「紫陽を臣下とする」という勅命を下した。
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