第二十三章

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「…じゃ、私は帰るね。また何かあったら連絡して?じゃ、またねっ」 掌をひらひらとさせながら、笑顔で病室を後にするリナ。 リナが出て行った後の扉を眺めながら…俺は呟く。 「……オマエは昔からそうだよ……嘘をつくと、決まって左の口端だけがあがる癖があったよな……」 両手で顔を覆い、ボソリと呟く。 「……無理しやがって……バカ野郎……!」 ――そして、病室を出たリナは… 誰もいない廊下で1人、涙を流していた。 なんとか今まで我慢してきたが…1人になって感情が押し寄せてくる。 涙が…止まらなかった。 「……もう少し……もう少し早く私に…私に勇気があれば… もっと早く…気持ちを伝える事が出来てたら… ……痛いよ…心が痛いよ…… アキラ…アキラぁ……!」 その場に、泣き崩れてしまうリナ… その日、リナの涙がおさまる事はなかった……
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