第二十三章

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――その時だった。 ――ぴくんっ 「――っ!…あ、アオイちゃん…?」 微かに。ほんの微かに。 アオイちゃんの手が、俺の手を握り返してくれた気がした。 「アオイちゃん!アオイちゃんっ!分かるか?俺だ、アキラだっ!」 精一杯、話しかける。声が枯れるほどに。 「アオイちゃん!約束…約束しただろう?!学校でまた会おうって!またお菓子作ってくれるって! もっとデートしよう!もっと一緒に色んな話をしよう! アオイちゃん!アオイちゃん!アオイちゃんッ!!」 ――次の瞬間、俺は見たんだ。 アオイちゃんの瞳から、一筋の涙が零れ落ちるのを―― 「あおい……ちゃん……」
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