第二十四章

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――2年の月日が流れた。 季節は春。周りの景色には、桜が見てとれる。 俺は今、アルバイトを行いながら病院に近いアパートで1人暮らしを始めた。 毎日バイトに行く前と、そして終わった後。当然休みの日など時間があればアオイちゃんの傍にいてあげる事にしている。 アオイちゃんは、その後も意識を取り戻さなかった。 俺は今、夢がある。介護士になるという夢が。アオイちゃんの傍で2年、自分自身もっとアオイちゃんの為にしてあげられる事はないのか、と考えて出した答えがそれだった。 勉強とバイトを両立させる事は難しいが、俺には彼女が傍にいる。きっと夢は叶うと信じている。 ――午前8時。 いつものようにアオイちゃんの元へ会いにいく途中。 寄り道の為に、俺は一軒の店に立ち寄る。 からんからんと、昔と変わらない来客を知らせる音が店内に響く。 「いらっしゃ――あら、アキラ君じゃない。おはよう」 「おはよう、メグミさん」 「モーニングでいい?」 「うん、よろしく」 俺はカウンラー席に座り、メグミさんの様子を窺う。
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