第二十四章

10/14
前へ
/302ページ
次へ
その日の夕方。病室へと戻り、アオイちゃんをベッドへと座らせた。 「よい、しょっと。アオイちゃんは軽いなぁ。もっとしっかり食べなきゃダメだぜ?」 腰まで毛布をかけてあげて、カーテンを開ける。すると 「うぉ…これまた、すげぇな」 それは夕日だった。窓から注がれるオレンジの暖かな光が部屋を照らす。 「綺麗だな、アオイちゃん。傍に来て見てみる?」 アオイちゃんをお姫様だっこして、窓辺へと近寄る。 「どう?見える?綺麗だよな」 アオイちゃんは、ただぼんやりと夕日を眺めていた。 俺は、そんなアオイちゃんの横顔を見つめつつ微笑む。 「…よし、そろそろベッドに戻ろうか。春とはいえ、日が落ちると寒くなるからさ。風邪ひいちゃうといけないだろ?」 俺はベッドに向かう為、身体を反転させる。すると―― ――ぎゅっ 「―――えっ?」 俺の服を、アオイちゃんの腕が…掴んでいる。 まるで、もっとこの光景を見ていたいと言うように……
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

495人が本棚に入れています
本棚に追加