第二十四章

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「あ、アオイ…ちゃん…手が…もしかして、意識が…?」 アオイちゃんの手は、今も俺の服をしっかりと握りしめている。 (今までは自分の指を動かす事すら出来なかったのに…) 驚きの表情でアオイちゃんを見ていると、 (――――ッッ!!) 俺は、ある事を思い出す。 夕日の光景…そう、それは… (思い出した…!そうか、夕日の光景…それは…) それはアオイちゃんと父親との思い出。 それは俺とアオイちゃんとの初デートでの思い出。 アオイちゃんは、きっとそれを思い出したのだ。 そして、まだこの光景を見ていたいと…そう言っているのだ。 (そうか…想い出…それなら) 俺はアオイちゃんを抱きかかえたまま、ポケットから携帯を取り出す。 あの日から解約をしていない、ラブ・フォーチュンのサイトへ接続する。 2年ぶりに開いたサイト。懐かしさが俺を包む。 「アオイちゃん、これ…覚えていないか?出会い系サイト…俺とアオイちゃんが会話をしてた…俺がパルスで、アオイちゃんはパンジーで…」 一生懸命、思い出話をする。しかし彼女は何の反応も見せない。 (……やはりダメか……) そう思った瞬間、再び ――きゅっ 俺の手を、アオイちゃんは握りしめる。
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