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「…アオイちゃん…ありがとうって…俺に礼を…?」
アオイちゃんは何も答えなかった。携帯を押し終えると、力尽きたのかダラリと腕を落とす。
支えを失った携帯が、床へと落ちる。
「……お礼なんて……言わなくていいんだよ……
俺は、これからもずっと……
ずっとアオイちゃんの傍にいるから……」
――俺は、涙を流していた。
その涙は、アオイちゃんの頬に落ちると、ゆっくりと流れた。
……アオイちゃんは、気持ちを表に出せずとも……
言葉を話せなくなっても……
俺をずっと見てくれていたんだ…分かっていてくれたんだ…
この2年の間でも、俺はずっとアオイちゃんに愛されていた事に気付く。
それは、とても……
とても幸せな事だった。
「……思い出を増やしていこう。これから、もっともっと。
だから、ずっと一緒にいてくれるかな。アオイちゃん……」
俺は優しく、アオイちゃんの頭を撫で…
そして、唇を重ねた。
いつ回復するか分からない。
もしかしたら、回復しないかもしれない。
でも……俺は思っている。
気持ちは――通じ合っていると。
「愛してるよ、アオイちゃん」
ほんの一瞬だけ、
アオイちゃんの表情が、微笑んでみえた。
――― 完 ―――
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