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『どうしてそんな大事なこと手紙なの?』
その手紙は彼と逢った翌日に受け取った。と言うことは、その前日逢っている時には決まっていたと言うこと。
でも彼の口からは何も聞かされなかった。
『大事なことだから』
…手紙と言うものにそう理解していたらしい。
言い直しの効かない「文章」で知らせてから言うつもりだったと。
それがアメリカ的なのか、彼が日本ではそうするものだと学んだものなのか判らないけど、彼の中ではそうだった。
実際、なんで先に直接言ってくれないの?と言いながら、手紙を見た時にアンディがどうしたいのか判っていたとはいえ十分ショックを受け、彼自身の口から詳しく聞かされた時には落ち着いていたから、彼の判断はよかったのかも知れない。
そしてアンディは2年間住んだアパート近くのお世話になった初老のご夫婦と優奈に送られて日本を発った。
それどうして持ち帰るの?
という数の紙袋を持って…
左手に6コ、右手に5コ。
優奈はその時も恐ろしくて聞けなかったし、その後も「あれどうしたの?」も聞けなかった。
無事、帰国したということは、なんとかなったのだろうとは思ったけど。
それが5ヶ月前のこと。
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