嫉妬

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サスケくんの蹴りによってカカシ先生が吹っ飛んだ。サスケくんの纏う殺気が尋常じゃない。その殺気に当てられて思わず口をさっきのいののように抑えた。重い。吐きそう。 「…オイ。サスケやり過ぎじゃないか?」 アレ、生きてるのか?カカシ。と、ナルトはさっきまでの空気を読むこと無く悠々とカカシ先生に向かって歩いて行った。とたんサスケくんの殺気は更に膨れ上がった。もうダメ。ほんとに、倒れそう。気が狂う。誰かが吐いた気配がした。でも誰だか分からない。そんな余裕なんて、欠らも無かったのよ。解るでしょう?カカシ先生は数メートルは離れていた木に背中から思い切りぶつかったみたいだった。カカシ先生の口から声にならない呻き声みたいなものが聞こえた。あのカカシ先生が。ああ、信じられない。 「うわ、痛そう。血、けっこう出てるな。大丈夫か?」 「…ナルト様」 ナルトがカカシ先生の頭を見ながら触ろうとしたら、サスケくんが割り込むように口を挟んだ。 「ん?何?」 振り返ったナルトにサスケくんはさっと顔を紅潮させながら「…火影様に報告を…」とかなんとか言った。 「あぁ、そうだったな」 「オレが行ってきます」 「いや、サスケは面倒だろうけど、こいつらのこと頼むよ。いいか?」 「御意」 「サスケはほんとに気が利いてるな。やっぱり頼りになるよ」 「―――!!そ、そんなことは、ありません!」 さらりと言ったナルトの言葉に、サスケくんは見るからに嬉しそうな顔で笑った。ああ、なんて忠誠心。そういえば、私がサスケくんの心からの笑顔を見るのは、これが初めてじゃないだろうかと、今更ながら思う。 「じゃ、オレはじいちゃんに報告してくるから」 「御意!」 あとよろしくな。ナルトは掻き消えた。一度も振り返ずに。あとに残ったのは、膝付いたままの上忍二人と、腰を抜かしたままの可哀相な下忍達と、暗部副隊長に蹴られた上忍一人と、忘れられた憐れな瀕死の敵約20人と、暗部総隊長の後ろ姿を見送った元下忍一人だけ。本当にすべて訳が分からない。泣きそう。 ・
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