邂逅と始まり

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「何ひとつ無くなってしまったな、お前。」 ぼんやりと空虚を死んだ目で眺めていたとき。横たわったまま動かない父さん母さんはただの物言わぬ肉塊になってしまっていて。その少し離れている所にオレはひとり惨めにうずくまっていた。 自分の頭上でした声に臥せていた顔をゆるゆると上げる。 「なぁ、お前、今どんな気分だ?並以上に恵まれてたのに、たった一人の兄によってそれをこうも呆気なく壊されてしまった気分ってのは。」 大方、己の無力さを呪っててるんだろう。そう言ってすぃと蒼い目を細めた人は、オレがこの世で見たことが無いくらい綺麗だった。いっそ、場違なくらいに。 ありふれた世界の崩壊 それは下忍の合同演習の最中に起こったことなの。それまではいつも通りに一人を除いて集合場所に皆集まったし、いつも通りに時間もこれまた一人を除いて皆守ったし。そしてやっぱりいつも通りのメンツで。だから私だって、これからいつも通りでは無いことが起きるなんて、思いもしなかったのよ。 。
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