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 「お願い・・・世界を見捨てないで・・・」  娘は俯き、服の裾を握りながら震える声で願った。しかし、人成らざる者達の姿に怯えているからだろうか。それとも、その怒気に気圧され、ただ佇むことさえも許されぬからか?いずれにせよ、娘はそれ以上、一言も言葉を発することができなかった。  数十分の後、我々の内この世界にまだ残っていたのは扉を開いた我と、我が古き友であった。 我は自分が扉を開き続けることに限界を感じつつあった。  如何に神と呼ばれる存在であっても、数多の人外を『世界』の外へ出す為の扉を長く開き続けることは相当の精神力を使うようだ。故に  「友よ、急げ。我も世界も、もう持たんぞ。」  そう、事実だけ言った。しかし友は、あれから黙ったままの娘をじっと見て、何かを考えているようだった。そして何を思ったか、突然娘に言った。  「人の子よ。己が救いたい者達を捨て、我輩と来る気はあるか?」
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