北川健人

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今まで須藤に良い思い出はない。頻繁に俺ばっかに数式を答えさせるし、喧嘩で顔を腫らせば何時間も職員室で質問責めするし、タバコが見つかり停学になった事もある。その時には杉野、竹下も一緒に停学になったが。 小川はインフルエンザでちょうど学校を休んでいたのが吉と出たのだ。 須藤は自分の椅子に座り、俯き黙り込んでいる。机を人差し指でトントン叩く音が耳障りだ。 どうせあの質問だ。こいつは決まっていつも俺に同じ質問をする。喧嘩の時もタバコの時も最初にする質問はどうせ…。 「お前はいつも何を考えて生きてる?」 ほらきた。やっぱりね。このやり取りには正直飽きた。俺も答える事はいつも同じだった。 「何も考えてない。いつもと違う毎日で毎回同じ事考えて生きてる人間っていますかね?」
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