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竹下とその彼女の出会いは事件が起きた3ヶ月前にさかのぼる。梅雨の時期が到来し、ジメジメした空気が肌にまとわりつく6月の中旬。俺は寝坊し昼休み学校に着いた。教室に入るとほとんど人が居なかった。教室の隅っこで本を静かに読んでいる西本君。ちなみにあだ名は“座敷わらし”だ。それと、せっせと弁当を食い散らかしている近藤君。あだ名はダイソン。吸引力抜群の掃除機の名前らしい。
その2人以外教室には誰も居なかった。
二年生の教室は一階と二階に別れていて、僕ら4人は一階の教室だった。しかし杉野達の姿もない。
西本か近藤に聞こうか考えたが、今までたしいて会話した記憶がない事を思い出し諦めた。
とりあえず座ろうと椅子に手をかけた瞬間、上の階から「うおー!」という歓声が聞こえてきた。しかも一人や二人の歓声のボリュームではない。今からミスチルのコンサートでも始まるのか?といった大歓声だった。
俺は首を傾げ教室を出た。階段に差し掛かろうとした頃男共の生々しい声がはっきりと聞こえてきた。
それは「脱げー」とか「好きだー」とか「番号教えてー」とか時にはここには書けないような卑猥な言葉も聞こえてきた。
まさかストリップでもやっているんですか?とバカにするように、片方の唇を吊り上げ笑った。
しかしその“まさか”だった。階段を上りきるとそこには信じられない光景が廊下一面に広がっていたのだ。
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