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「え?」竹下は立ち止まり恐る恐る振り返った。するとそこには笑顔で竹下を見つめる彼女がいた。 「い、いいんですか?」竹下は声が裏返らないように慎重に聞いた。
彼女はクスッと笑うと“何言ってるんですか、あなたの傘じゃない”と言って竹下の側までゆっくり歩き、傘の中に竹下を入れた。
竹下は震える膝を必死に隠そうと足を前に勢いよく蹴りだし、膝を曲げずに歩いた。すぐに須藤が脳裏に浮かび上がったので、兵隊歩きを辞め膝を笑わせながら歩いた。
「よく登校時間一緒になりますよね?最近よく見かけるんですよ。気付いてました?」彼女は上目使いで竹下を覗き込んだ。
竹下は飛び出しそうな心臓を飲み込むように唾を飲み込んだ。
「ぼ、僕も気付いてました。女子校のベランダで…」竹下はそこまで言うと唾と一緒に言葉を飲み込んだ。彼女に嫌な思いをさせてしまったんではないかと、恐る恐る彼女を見た。
彼女はまたクスッと笑うと「恥ずかしいな~見てたんだ。あの日はちょっとはしゃぎすぎました。反省。」というと小さく舌を出した。
竹下は彼女の可愛さに死んでもいいと思った。
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