第六章 局中法度

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部屋には女がいた。 先日の新見の切腹から、芹沢は部屋に閉じこもる様になっていた。 まるで何かから怯え隠れているように… 「いい女だろお梅というんだ俺の女だ…」そう言いながら芹沢はお梅と呼ばれた女の膝に寝転んで見せた。 何がしたいんだ芹沢は…見せつけたいのか…。静香はお梅に軽く頭を下げ茶を置いて部屋から出て行こうとした。 「待て…静香おまえは何故ここにいる?壬生の噂なんか良くないはずなのに何故ここで女中なんかしてやがる?まさか静香…間者か…」 出ていこうと襖に手を掛けたが…静香の動きが止まった…。 まずいっ…芹沢はきずいているのか…私の正体に? 静香はゆっくりと唾を飲み込んだ。芹沢の顔が見れなかった。 「ふっまぁ何でもいい…俺もここに長居はできねぇだろうしな」 ちらっと盗み見た芹沢の顔が心なしか淋しそうに見えた。静香は襖を開け芹沢の部屋を出て廊下を歩いていった。
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